高地トレーニングは市民ランナーにも有効?取り入れ方なども紹介

シドニーオリンピックで金メダルを取った高橋尚子選手が練習に取り入れていたことから広く知れ渡るようになった高地トレーニング。標高の高い場所で練習することで運動能力の向上を図ることができると言われおり、実際に高地に行かなくても室内で同様の効果を得られるジムも増えてきました。オリンピックに出場するようなランナーが行うトレーニングというイメージがありますが、一般の市民ランナーにとっても効果があるのか、メリットやデメリット、方法まで紹介していきます。

記事の目次

  • 「高地トレーニング」とは?
  • 高地トレーニングにはどんなメリットがある?
  • 高地トレーニングのデメリットは?
  • 高地トレーニング、具体的にはどうやるの?
  • 市民ランナーが高地トレーニングをするには
  • 高地トレーニングには専門家のアドバイスを!

 

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「高地トレーニング」とは?

高橋尚子さんがシドニーオリンピックの前にアメリカのボルダーでトレーニングを行って金メダルを取ったことから一躍有名になった高地トレーニング。世界を相手に戦うランナーにはもはや常識となった感がある高地トレーニングですが、実際にはどんなトレーニング方法なのでしょうか。

ケニア出身のランナーがマラソン界を席巻

マラソンでケニアのランナーが強い理由は?

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近年、マラソンの世界ではアフリカ、特にケニアやエチオピア出身の選手が上位を独占してきました。中でも非公式レースでありながら前人未到のフルマラソン2時間切りをしたエリウド・キプチョゲ選手、16年ぶりに女子の記録を更新したブリジット・コスゲイ選手、さらに2019年のNYシティマラソンで優勝したのは男女ともケニアの選手と、圧倒的な強さを見せつけています。

ケニアには高地トレーニングの聖地がある

高地トレーニングの聖地

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実はキプチョゲ選手を始めとしてケニアの中でも高地にあるリフトバレー州の出身者が特に多いという事実があります。特に多くのエリートランナーを排出したイテンという街は標高2,400m以上の高地に位置し、今や多くの一流選手が試合の前に高地トレーニングを行う場所として有名になりました。

高地トレーニングの効果は?

ケニア選手の強さは高地トレーニング?

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ケニアの選手の強さの秘密と言われているのが「高地トレーニング」です。高地とは具体的には標高1,500m~3,000mとされています。

 

標高が高くなると酸素濃度が薄くなるので、酸素を取り込みにくくなります。そうなると血中の酸素濃度が低下するので、体は生命活動を維持するために酸素濃度を確保しようとします。その結果、赤血球数やヘモグロビン濃度が増加することでパフォーマンスが向上するとされています。

 

ただし誰にでも効果があるというわけではありません。後述するように相当な負荷がかかるトレーニングなのでタイムでいえばサブ3を達成するぐらいの走力がなければ逆効果となる可能性もあります。

高地トレーニングは、シリアスに記録を狙うようなランナーに向けたトレーニングと考えた方がよいでしょう。

高地トレーニングにはどんなメリットがある?

ランニング以外のスポーツでも多くのアスリートが取り入れている高地トレーニングにはさまざまなメリットがあります。その具体的な内容を見ていきましょう。

筋肉により多くの酸素を供給できる

高地トレーニングには科学的な効果が

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血液中の赤血球に含まれているのがヘモグロビンです。ヘモグロビンの役割は酸素を筋肉へ運ぶことですが、高所にいることで赤血球とヘモグロビンが増加します。このため、平地に降りた時により多くの酸素を筋肉に運搬できるようになるのです。

持久力がアップする

ケニアのランナーの持久力の秘密は?

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持久力を測る目安としてよく挙げられるのが最大酸素摂取量ですが、これは1分間に体内に摂取できる最高の酸素量を測定するものです。高地でトレーニングすることによって体内に多くの酸素を摂取できるように、最大酸素摂取量が向上します。

これが高地トレーニングで持久力が向上するメカニズムです。

高地トレーニングのデメリットは?

一流のランナーが取り入れていることから、今の練習法に物足りなさを感じているランナーには特にメリットの多い高地トレーニングですがもちろんデメリットも存在します。

回復に時間がかかる

高地トレーニング後はリカバリーが難しい

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高地では平地よりも疲労回復に時間がかかります。また、高地では気圧も低いことから順応するまでに時間がかかってしまうと言われています。特に走力がついていないランナーは高地トレーニングを行っても疲労ばかりたまってしまい、まともに走れないといったリスクもあります。

追い込んだトレーニングができない

追い込んだトレーニングは難しい

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酸素の薄い場所でトレーニングを行うと平地で行っていたトレーニングメニューがこなせなくなるので、結果的にトレーニングの質は落ちることになります。

 

 

このため、近年は高地には合宿するものの、トレーニングは平地に降りて通常通りのメニューをこなす「リビングハイ-トレーニングロー」(living high – training low)という手法が世界的には主流となってきているようです。

高地トレーニング、具体的にはどうやるの?

それでは高地トレーニングのメリット、デメリットをふまえた上で実際の方法について見ていきましょう。シーズンオフや日常的に行うのではなくレースの前に調整で行うトレーニングであることは認識しておく必要があります。

短期間の高地トレーニング

短期間の高地トレーニングもある

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三泊から1週間単位で行うトレーニングです。長期間の滞在よりも体調管理しやすいというメリットがあります。

長期間の高地トレーニング

長期間の高地トレーニングはリスクも高い

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エリートランナーがアフリカで行っているのは3週間から1か月以上の長期間の高地トレーニングです。高地では体が慣れるまでの最初の1週間が一番疲れやすいといわれているので、当初は軽いトレーニングから始めます。二週目からトレーニング量を増やし、最後の週は平地に戻る前の調整期間にあてます。

市民ランナーが高地トレーニングをするには

エリートランナーがケニアで高地トレーニングを行うとその費用が数百万円かかると言われています。費用もさることながら、普通の社会人であれば1か月も仕事を休むというのは現実的ではありません。また、これまで紹介した高地トレーニングはレース直前の調整のためのメニューで、日常的に行うものではありません。

 

その一方で手軽に高地トレーニングと同じ効果を得られる設備のあるジムも増えてきました。

高地トレーニングと同じ効果が得られるジム

ジムで高地トレーニングの効果が?

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最近増えてきたのが、低酸素ルームを備え、その中でランニングマシンを使ってトレーニングできるジムです。

30分程度のランニングでその数倍のトレーニングと同等の効果を得られるので、時間のない方にはありがたいでしょう。

ただしその分トレーニングはハードですし、継続していくには強い意志も必要になります。ストイックに記録を求める方は、一度試してみるのも良いかもしれません。

 

ハイアルチ:日本初の高地専門トレーニングスタジオ

独自の高地環境再現テクノロジーにより標高2,500mの空間を再現しています。

筋トレや高地ヨガ、トランポリンといったランニング以外にも多彩なトレーニングメニューを用意しています。

詳細はこちら

 

スポーツサイエンスラボ:元箱根ランナーがサポート

ランだけでなくバイクでのトレーニングも可能なのでトライアスロンにチャレンジしたい方にもおすすめです。

サポートスタッフには箱根駅伝出場者やトレイルランニングのトップアスリートも名を連ねています。

 

詳細はこちら

 

アシックス・スポーツ コンプレックス 東京ベイ:アシックスプロデュースの大型複合施設

スポーツコンプレックスの名前の通り、さまざまな設備を備えた世界最大級の低酸素トレーニング施設です。

トレーニングルームだけでなくプールでも標高4,000m級のトレーニングが行えます。ジャグジーや水風呂サウナといったリカバリー施設も充実しています。

 

詳細はこちら

 

低酸素トレーニングマスクをつけてのトレーニング

マスクやバフなどを付けて走った経験のある方もいるのでは。思った以上に呼吸が苦しく、いつものペースで走るのが難しかったのではないでしょうか。同様の効果を狙い、より低酸素な状態を作り出すための専用マスクも市販されています。

 

ITEM
BODYMAKER BATTLE AERO MASK
■サイズ:フリー■カラー:ブラック・カモフラージュ■素材:SBR(特殊合成ゴム)

 

軽量でぴったりとフィットする素材を使った低酸素マスクです。快適な着け心地で走ることに集中できます。

サプリも大事

酸素の働きをサポートするサプリメントも活用しましょう。

ITEM
グリコ パワープロダクション エキストラ オキシアップ
成分 栄養成分表示/製品4粒(標準1.88g)当たり エネルギー 10.5kcal、たんぱく質 0.8g、脂質 0.7g、炭水化物 0.2g、食塩相当量 0.036g、鉄 8.0mg、ナイアシン 5.1mg、パントテン酸 2.52mg、ビタミンB1 0.43mg、ビタミンB2 0.45mg、ビタミンB6 0.34mg、ビタミンB12 0.9μg、葉酸 105μg / コエンザイムQ10 5mg、アスタキサンチン 3mg

 

酸素の働きをサポートするヘム鉄、コエンザイムQ10、7種のビタミンB群などが配合されています。ランニングなど持久系スポーツに効果的なサプリです。

高地トレーニングには専門家のアドバイスを!

高地トレーニングには専門家のアドバイスを

 

高地トレーニングは環境への適応能力を活かし、パフォーマンスアップする手法です。しかし効果的に行うためには、適切な負荷・期間を設定することが求められます。低酸素状態でトレーニングすることはリスクも伴うので、必ず専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

もっと早く、遠くに!本気で記録を狙いたいランナーにおすすめの記事はこちら

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Morotsuka 51
Morotsuka 51

40歳を目前に陸上未経験で走り始めました。フルマラソンからウルトラマラソン、トレイルまでさまざまな大会にチャレンジしていますが、記録更新よりも楽しくいつまでも走り続けられるライフスタイルを目指しています。