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走るだけじゃダメ?マラソントレーニングに欠かせない考え方とは
詳しい練習方法の説明に入る前に、まずマラソントレーニングにおいて大切な考え方をお話しします。
市民ランナー、特に社会人になって初めてランニングをするようになった方の多くは「走ること」に意識が集中しがちです。しかし、マラソンで結果を出すためには、練習以外の部分にもいかに目を向けられるかが大事になってきます。
練習・食事・休養の3点セットを意識しよう
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マラソントレーニングでは「練習・食事・休養」を一続きとして捉え、日常生活の中でも「パフォーマンスを上げる過ごし方」を意識することが大切です。
なぜかというと、人間の体は、練習で負荷をかけ、体を修復するための栄養を摂取し、休養(睡眠)で体を超回復させることによってはじめて向上するからです。練習そのものの質に加え「体をいかに早く回復させるか」という意識を持つことが大きなカギとなるのです。
特に、ランニング後に重要になるのが「たんぱく質(プロテイン)の摂取」と「質の高い入浴・睡眠時間の確保」の2つ。その理由を順をおってみていきましょう。
練習後はプロテインを摂って筋繊維を回復させよう
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人間の筋肉は数千本の筋繊維でできており、ランニングをするとそこに微細な傷が発生します。傷付いた筋繊維の回復にはたんぱく質が必要となりますが、糖質や脂質とは異なり、食事のみで十分な量を摂取するのは難しい栄養素です。
日常的に運動をしている人は、体重1kgあたり1.5~2.0gのたんぱく質が必要といわれています。マラソンに向けコンスタントに走っている方は、プロテインで筋肉を成長させるための材料をしっかり補なっていきましょう。
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ANOMA アノマ プロテイン
●フレーバー:抹茶、チョコレート、コーヒー
●栄養成分表示(1食分30gあたり)
エネルギー:118.5kcal たんぱく質:21.3g 脂質:2.6g 炭水化物:2.5g 食塩相当量1.1g
アルギニン:1,650mg バリン:969mg ロイシン:1,968mg イソロイシン:858mg(BCAA合計 約3,800mg)
*人工甘味料、着色料、保存料、乳化剤不使用
●内容量: 600g
毎日湯船に浸かる習慣をつけ、質の高い睡眠をとろう
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体の内部に加えて大切なのが、体の外部からのケア。中でも意識したいのは「毎日10分以上の入浴習慣」です。
疲労回復と質の高い睡眠のために有効といわれているのが「40℃のお湯での10~15分の全身浴」。血流を良くして疲労回復を促すのはもちろん、見逃せないのが睡眠への影響です。やや高めの40℃のお湯でしっかり温まることで入浴後の深部体温を一度上げ、入眠直後に急降下させることで質の高い睡眠を実現し、超回復を促進できます。
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スージー AS快眠枕 ベーシック
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小林麻利子『入浴の質が睡眠を決める』
●著者:小林 麻利子
●発行年月:2020年12月14日
マラソン練習はジョグ・ポイント練習・休養日で組み立てよう
マラソントレーニングの基本的な考え方をおさえたら、いよいよ走る練習の出番です!
それではマラソン練習で大事なポイントを順に見ていきましょう。
練習は強度のメリハリと休養が大事
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ランニングを始めたばかりの方や、真面目なランナーほど【毎日】【一定距離】を走り、成長が頭打ちになると「月間走行距離」を伸ばすことで走力を上げようとしてしまいがちです。
しかし、マラソン練習で何より大切なのは「練習強度のメリハリ」。走力のベースとなるジョグ、スピードの底上げを図るポイント練習、ダメージから体を回復させる休養日を設け、1週間ないし10日間ほどのスパンでローテーションしていきます。
それぞれの練習ボリュームとしては、低強度のジョグが7割、テンポランやビルドアップ走など中強度の練習が2割、インターバルやレぺティションなど高強度の練習が1割程度が良いといわれています。そこに休養日をどの程度挟んでいくかは、ランニング歴や走力によって判断が変わってきます。
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走歴の浅いランナーは走る日と完全休養の日を交互に入れて、練習ごとに体を休めるようにし、上級ランナーはゆっくりペースで走りながら疲労を抜く「アクティブレスト」を基本にして週1回は完全休養を入れ、心身のリフレッシュを図るのがおすすめです。
市民ランナーが練習に割ける時間は限られています。最低限必要な練習ボリュームを把握し、効率よく目標達成する方法を身に着けていきましょう。
基本のジョグは2種類を使い分けよう
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人間の筋肉は「遅筋」と「速筋」の2種類がありますが、マラソンで重要となるのは「遅筋」です。
これを鍛えるためには、継続的なジョグが第一。ジョグの積み重ねによって遅筋繊維の毛細血管が増え、体の隅々まで酸素が行き渡るようになります。
ここで押さえておいていただきたいのが、ジョグには「①体のベース作りのジョグ」と「②疲労回復ジョグ」の2種類があるということ。
まず①は「有酸素能力を鍛えるためのジョグ」という位置付けです。身体能力向上をねらいとしているため、一定のレベル以上のランナーはペースへの意識を持つことも大切です。
<①ベース作りのジョグのペース目安>
- サブ3:4’50~5’20″/km
- サブ4:6’20~6’50″/km
- マラソン完走目標:7’00~7’30″/km
一方の②はポイント練直後や翌日に行うジョグで、心臓へ負担をかけないゆっくりペースで行います。蓄積していた疲労物質を筋肉のポンプ作用によって拡散させ、筋肉が張った状態をほぐすイメージです。
マラソン練習の7割前後を占めるのがジョグ。市民ランナーにとって、ジョグは大切なリフレッシュの時間でもありますよね。そのため、初中級者の方であれば厳密なペース管理はしなくても構いませんが「毎日何となく走る」のではなく、その日の目的が①②のどちらであるかは念頭に置いておきましょう。そして、サブ3以上を目指す上級者の場合は、ジョグにもバリエーションを設け「常にゆっくり」とならないように、程よいテンポと強度で走る日を意識的に入れるようにしていきましょう。
ポイント練習は毎回テーマを持って
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ジョグでマラソン練習のベースを作りながら、週に2回は心肺と速筋に刺激を入れるポイント練習を取り入れましょう。大切なことは練習ごとにテーマを持って、鍛えるポイント別にバリエーションを作ること。ポイント練習の種類は大きく次の3つがあり、マラソン本番へ向けた各フェーズの中で「今強化すべきポイント」をおさえ、練習の中に組み込んでいくことが大切です。
<ポイント練での強化テーマ>
①ランニングエコノミーの向上
②VO2max(最大酸素摂取量)の向上
③LT値(乳酸性閾値)の向上
①ランニングエコノミーの向上
ランニングエコノミーはいかに少ないエネルギー(酸素摂取量)で無駄なく走ることができるかという指標であり、一定の速度帯での酸素摂取量が低いほど「ランニングエコノミーが良い(=燃費が良い)」と判断できます。ランニングエコノミーを決める要素はいくつかありますが、最も大きな要素がランニングフォーム。次のようなトレーニングを何度も行っていくことで体を効率的に移動する理想的なフォームを体得できます。
- ショートレペティション:200m×10~15(r=walk90″)、400m×10~12(r=walk2’)など。
- 坂道ダッシュ:100~150m×10~20など(下りはスタート地点までゆっくりJOG)
- 不整地ラン:芝生や土の上でのファルトレク、土トラックでのインターバル・レペティションなど
これらの練習は、春から夏にかけて基礎の底上げを狙う時期の実施が特におすすめです。
②VO2max(最大酸素摂取量)の向上
続いて、VO2max(最大酸素摂取量)は1分間に体内に取り入れることのできる酸素の最大量のこと。この数字が大きければ大きいほど、持久的パフォーマンスが高いといえます。VO2maxを向上させるには次の通り、インターバル以上の強度の練習が必要です。
- インターバル:400m×12~15(r=jog60”)、1000m×6(r=jog70″)、1200m×5(r=jog70″)など
- レペティション:①に同じ。ほか300m×10(r=walk90″)、1000m×5(r=walk3’)など
③LT値(乳酸性作業閾値)の向上
最後のLT値(乳酸性作業閾値)とは有酸素運動と無酸素運動との境となる閾値(LT=Lactose Threshold)で、それよりも強度が上がるとエネルギー源に糖質が多く使われるようになり、血液中の乳酸濃度が急激にUP。長時間運動をし続けることが難しくなります。フルマラソンで維持が可能な目安のペースは乳酸値でいうと2~3mmol(ミリモル)/lの間、ハーフマラソンの場合は4mmol/l前後といわれています。
この血中乳酸濃度が急上昇するポイントを上げ、長く維持できる最速ペースを速めていくためには次のようなメニューが有効です。
- テンポラン:6000~8000m
- クルーズインターバル:1000m×8(r=jog60″)、1600m×4~5(r=jog90″)、2000m×3~4(r=jog2’)(テンポランのペースより若干速めで)
といった内容になります。テンポラン、クルーズインターバルのいずれも疾走時間の合計が20~30分程度、主観負荷としては「快適なきつさ」で、しっかりピーキングをすればハーフマラソンを走り切れるペース設定で実施します。
①~③のメインの目的をおさらいすると、①は燃費のよい体を作るための動き作り、②は最大スピードの底上げ、③の練習ではスピード持久力の向上をねらった練習といえます。
練習スケジュールはどうやって考える?
マラソントレーニングの基本的な考え方は以上になります。それでは続いて、これらの前提・知識を日々のトレーニング計画に落とし込んでいきましょう。
1週間の基本メニューを作ってみよう
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<メニュー例> ※設定はサブ3.5向けの例
(月):ジョグ40分(5’40~50″/km)
(火):ポイント練習①インターバル1000m×6 設定4’20″/km(r=70″)
(水):疲労回復ジョグ40分(6’30″/km)
(木):ジョグ40分(5’40~50″/km)
(金):休養日
(土):ポイント練習②ファルトレク(1分OFF-1分ON)×15 *ON区間は全力に対し9割ほどのスピードで
(日):ロングジョグ90分(5’30″/km)
有酸素能力のベースを築くための平日2回のJOGと、走力向上のための週2回のポイント練習、そこにスピード練の疲労がある状態での週末ロング走で、フルマラソンに向けたスタミナ強化をねらったメニューの一例です。
ここで重要なのは毎週の「練習の振り返り」です。想定に対して、結果はどうであったか、練習ペースだけでなく、その時の体調や主観負荷、心拍などもおさえておくと、次なる打ち手を考えることができます。1週間分の振り返りを行ったら、翌週の予定も同時に立て、練習を線と線で繋いでいく意識を持ちましょう。
「期分け」を意識し、本番までの長期プランを立てよう
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フルマラソンは心肺機能、遅筋、速筋、乳酸処理能力など体のさまざまな能力をバランスよく鍛えていくことが重要です。
どれかが突出して優れていても、どれかが極端に低い場合、フルマラソンで結果を残すことは難しいのが現実です。また、人間の体は全ての能力を同時に鍛えることはできない作りとなっています。そのため、フルマラソンは約半年間の長期プロジェクトと捉え、ベースアップ期・走り込み期・仕上げ期と、本番までの期間をおおよそ3つに分け、各フェーズの強化テーマを定めて、数週間~数ヶ月単位で注力ポイントを変えていくようにするのがマラソン攻略のカギとなります。
<期分けの目安> ※11月末、3月上旬にマラソンレースがある場合
- ベースアップ期:4~7月(メイン:ランニングエコノミー向上)
- 走り込み期①:8~10月(メイン:前半 VO2max向上、後半 LT向上)
- 仕上げ期①:11月(メイン:LT向上、レースペースでの実践練習)
- レース①:11月末
- 休養期①:12月上~中旬(メイン:前半 VO2max向上、後半 LT向上)
- 走り込み期②:12月下旬~2月(メイン:LT向上、レースペースでの実践練習)
- レース:3月上旬
- 休養期②:3月中旬~下旬
トレーニングの基本を知り、オリジナルのプランを組めるようになろう!
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いかがでしたか?上記がフルマラソンに向けた基本的なトレーニングの組み立て方になります。これらを元に自分の力でメニューを立て、マラソン大会で良い結果を達成していただけたらとても嬉しく思います。
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