スピード変化がマラソンに効く!「ファルトレク」の効果とトレーニング方法

ファルトレクは、走りにスピード変化をつけることで走力アップを図ることができる練習です。マラソン大国ケニアでは一般的なトレーニングの一つで、プロのトップランナーの多くが、マラソンの練習メニューに組み込んでいます。今回は、そんなファルトレクの効果や練習方法を紹介していきます。

記事の目次

  • ファルトレクって何?
  • ファルトレクにはこんな効果がある!
  • 3つの基準で自由に決めよう!練習メニューの組み方
  • グループで行うと効果アップ!
  • ファルトレクでペース感覚を磨こう!

アイキャッチ画像出典:PIXTA

ファルトレクって何?

「ファルトレク」という練習をご存知でしょうか?日本では聞いたことのない人のほうが多いかもしれませんが、海外では人気が高く、非常に実践的なマラソントレーニングの一つです。

ペースに緩急をつけながら不整地を走るトレーニング

ファルトレクを行うランナー

出典:PIXTA

ファルトレクは、自然の中のさまざまな地形を利用しながら、走るペースに緩急をつけて走るトレーニングです。ランナーの総合的なレベルを向上させる効果があります。

 

もともとスウェーデンの軍隊の訓練として行われていたものを、長距離ランナー向けのトレーニングに応用したのが始まりです。英語ではスピードプレイと訳され、様々なスピードで「走りを楽しむこと」を目的としています。

マラソン大国ケニアで行われているファルトレク

集団でファルトレクを行うマラソン選手たち

出典:PIXTA

数多くのトップランナーを排出してきたマラソン大国ケニアでは、ファルトレクは非常にポピュラーなトレーニングの一つ。100人から200人の大人数のグループで行われることも多いそうです。トップランナーのペースに合わせ、全員が柔軟にペース変化に対応しながら、走り込みを行っています。

 

ただし、最後までペース変化についていくというスタンスではなく、自分が限界だと感じたらすぐに走るのをやめるそうです。彼らにとって、それは単なる諦めではなく、自分が今どのレベルにいるかの確認。「次はもっと長くついていけるように頑張ろう」というモチベーションへ変換するのだそうです。このポジティブな切り替えが、強い走りを生むのかもしれませんね。

 

また、ケニア出身で、世界最速の長距離ランナーであるエリウド・キプチョゲ選手をご存じでしょうか。国際陸連非公認ではありますが、オーストリアで行われたレースで「1時間59分40秒」というタイムをマークし、人類初のフルマラソン2時間切りを成し遂げた選手です。そんなキプチョゲ選手も、トレーニングメニューの中にファルトレクを取り入れており、その効果の高さを証明しています。

ファルトレクにはこんな効果がある!

ファルトレクは、「不整地でスピードに変化をつけて走る」という特殊なトレーニングなので、通常の練習以上に、多くの効果を得ることができます。どんなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

心肺機能の向上

高負荷の練習で息切れするランナー

出典:PIXTA

ファルトレクは、障害物や高低差のある自然の地形を利用して行います。走る路面の状況が安定しないので、心肺への負荷が非常に大きくなります。そのため、平地を走るよりも効率よく心肺機能を高めることができ、スタミナの向上が期待できます。

スピードの強化

速いペースで走る女性

出典:PIXTA

ファルトレクでは、速いペースで走る区間が発生するため、スピードの強化にも効果があります。決められたペースや距離はないので、初心者から上級者まで、自分に合ったスピード練習を行うことができます。

ペース変化への対応力アップ

ペースを変化させながら走る男女

出典:PIXTA

ファルトレクは、自分でスピードを上げるタイミングをコントロールしたり、周りのスピード変化に合わせたりと、常にペース変化を意識しながらトレーニングを行うことになります。「速い」ペースの区間と「遅い」ペースの区間が繰り返されることにより、実際のレースを想定したペースコントロールを身につけることができます。

全身の筋力の強化

自然の中の登り坂を走る男性

出典:PIXTA

自然の地形には障害物が多く、高低差もさまざまです。登り坂で必要な脚力が鍛えられるのはもちろん、不整地では身体全体でバランスを取りながら走らなければいけないことから、全身の筋力が効果的に鍛えられます。

3つの基準で自由に決めよう!練習メニューの組み方

ファルトレクは、柔軟に練習メニューを組むことができるのがメリットのひとつ。ペースを変化させる方法としては、大きく分けると「時間」「距離」「目標物」の3つがあります。この3つの基準を元に、ファルトレクの練習メニューの組み方を紹介していきます。

【時間】でペースチェンジ

時間をチェックしながら走る女性

出典:PIXTA

ファルトレクのペース変化を決める方法の1つ目は「時間」です。例えば「3分ごとにハイペースとローペースのスピードチェンジを繰り返す」というように、時間を決めてペース設定をします。

 

また、時間の設定は一定である必要はありません。「2分ハイペースで3分ローペースを繰り返す」などのように、ペースチェンジに変化を持たせても面白い練習ができます。

 

時間ごとのペースチェンジは、常に時間を意識する必要があるので、肉体的にも精神的にも時間に追われる感覚があり、疲労を感じやすいと言えます。時間のプレッシャーがあるという意味では、実際のレース感覚に近いトレーニングにもなりますよ。

【距離】でペースチェンジ

距離を把握しやすい公園を走る女性

出典:PIXTA

2つ目のペース変化の設定方法は「距離」です。例えば「1kmごとにハイペースとローペースのスピードチェンジを繰り返す」というようなペース設定をします。

 

こちらも時間と同様、一定の距離ごとにペースチェンジをする必要はありません。「始めは1kmごとにペースを変化させ、途中から300mごとのペース変化に変える」などのように、自由に組み合わせてみましょう。

【目標物】でペースチェンジ

木や橋を目標物にして走る男性

出典:PIXTA

最後に紹介するペースチェンジの目安は「目標物」を決める方法です。目印になるものを決め、その目印ごとにペースチェンジを繰り返します。

 

走り慣れたコースであれば、目印の事前設定が可能ですが、初めてのコースだと目標設定ができません。あまり長い距離でなければ、ウォーミングアップをしながら、事前にコースの下見をしておくと良いですね。

 

また、「木を通過するごとにペースを変化させる」というように、事前に正確な位置がわからない目標設定をするのもおすすめ。ペース変化のタイミングが不規則になり、練習に飽きることなく走れます。その他には、走りながら目立つもの(木、花、建物、橋など)を見つけ、「あそこまで行ったらペースを変える」と決めていくのもゲーム感覚で楽しめて良いですよ。

グループで行うと効果アップ!

集団でのランニング

出典:PIXTA

ファルトレクは、グループで行うと効果がアップします。グループでのファルトレクでは、ペースメーカーを設定し、その人が予告なしでペースを変化させます。そのタイミングで自分もペースの上げ下げを行わなければなりません。予測できないタイミングでのペース変化は、より実践的なトレーニングとなります。

 

途中でペースメーカーを変更しながら行うと、ペース変化のバリエーションがさらに複雑になるのでおすすめです。

ファルトレクでペース感覚を磨こう!

不整地でファルトレクを行う女性

出典:PIXTA

ファルトレクは「ペースを変えながら走る」というシンプルなトレーニングですが、シンプル故にさまざまな応用が利くトレーニングです。気分の赴くままに自由に走りを楽しむこともできますが、自分の目標に合わせたメニューを組んだり、グループで強度の高いトレーニングに取り組んだりと、レースに向けた練習も可能です。ファルトレクでペース感覚を磨き、実戦に強い走りを身に付けましょう!

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