ランニングにおけるピッチって何?ピッチ走法のメリット・デメリットを紹介します

ランナーにとって重要な「走り方」。走り方には大きく分けて「ピッチ走法」と「ストライド走法」がありますが、どっちの方が良いのでしょうか?人によって相性はありますが、マラソン初心者の場合、ピッチ走法の方がメリットが多いです。疲れやすいというデメリットもありますが、ストライド走法に比べ故障の可能性が低く、比較的取り入れやすい走法です。今回はピッチ走法について、ピッチのカウントの仕方、練習の方法や習得のコツをまとめました。ストライド走法についても紹介するので参考にしてみてください。

記事の目次

  • そもそもピッチ走法とは?
  • 自分のランニング中のピッチ数を知ろう
  • 自分に合った走り方を見つけることが大切
  • ピッチ走法とあわせて知りたい!ストライド走法のメリット・デメリット
  • ピッチ走法とストライド走法はどっちの方がいいの?
  • マラソンでもトップランナーはストライドが長い
  • 最初は無理なくピッチ走法で走ろう!

アイキャッチ画像出典:PIXTA

そもそもピッチ走法とは?

走り方にはさまざまな方法があり、「ピッチ走法」は代表的な走法の1つです。まずは、ピッチ走法がどのようなものか紹介します。

ピッチとは「歩数」「回転数」のこと

ランニングしている男性

ピッチとは走っているときの「歩数」「足の回転数」のことで、ピッチ走法とはこの歩数・回転数を上げる走り方のことです。歩数が多くなるため、歩幅は狭くなり体が小さい日本人向けの走法ともいわれています。

 

ピッチはペースや体格などによって変わりますが、初心者の場合は1分間に160~180歩ほど、トップランナーになると200歩を超えることもあります。

メリット:体にかかる負担が少なくなる

ゆっくり走っている女性

出典:PIXTA

ピッチ走法の最大のメリットは体にかかる負担を少なくできることです。ランニング中、片脚が接地するときには体重の3倍もの負荷がかかっているといわれています。脚が衝撃に耐えられなければ、心肺機能が高くても脚が痛くなって走れなくなってしまいます。

 

ピッチ走法は歩数を多くすることで体にかかる衝撃を分散することができ、一定のペースを保ったまま長い距離でも走りやすくなります。特にまだ走り始めで脚の筋肉が付いていない初心者の場合、衝撃を緩和できるピッチ走法の方がマラソンなど長距離を走るときに向いています。

デメリット:疲労の度合いが大きくなる

ランニングで疲れている女性

出典:PIXTA

ピッチ走法にした場合、歩数に合わせて腕振りの回数も増えます。長い距離を走ろうとすると、自然と運動量が増えるため疲労の度合いが大きくなってしまうのがデメリットです。

 

また、歩数を増やそうとすると動きが速くなるので心拍数も上がりやすく、無理にピッチを上げようとすると、急に疲れてしまうこともあります。走り方を急にピッチ走法に切り替えると、予想以上に疲れてしまうことがあるので注意しましょう。最初は無理ない上半身の筋トレをするなどの対策が必要です。

自分のランニング中のピッチ数を知ろう

軽いジョグ

出典:PIXTA

今の自分のピッチ数を知って、自分がピッチ走法なのか、それともストライド走法なのかを調べてみましょう。ピッチというのは1分間に脚を何回運んだかという数字になります。右脚と左脚は単独でカウントし、右、左、右、左、の場合は4回になります。ピッチ数を調べる方法はランニングウォッチがあればすぐわかりますが、ストップウォッチなど秒数の読めるものがあれば自分で数えることもできます。

ランニングウォッチがあればすぐにピッチ数を知ることができる

ランニングウォッチ

出典:PIXTA

現在発売されているGPS機能付きランニングウォッチは機能も充実しており、ピッチ数の計測も可能です。ランニング中に今のピッチ数を知りたい場合は、ピッチ数を表示するモードにしておけば瞬時に現在のピッチ数がわかります。また、ランニングを終えた後に、全体を通してのピッチ数など様々なデータを見ることができるので、本格的にランニングをしてみようかなという方は是非ランニングウォッチを持つことをおすすめします。

ITEM
ガーミン ForeAthlete235J
●本体サイズ幅×高さ×奥行き(mm):(約):W45mm×H45mm×D11,7
●本体重量:42g

自分でカウントしてピッチ数を計ることも可能

万歩計

出典:PIXTA

ランニングウォッチがなくても、スマートフォンのストップウォッチ機能でもOKですし、秒数のわかる腕時計があれば大丈夫です。測定方法は一定の歩数をカウントした秒数から計算します。100歩までカウントし、それまでにかかった時間が40秒だった場合を例とします。

歩数×60÷かかった秒数

で計算できますので、この場合は100×60÷40となりピッチ数は150となります。また万歩計と時計の組み合わせでも計算できます。走行時間がわかれば、走行後に万歩計の数値を走行時間で割ればピッチ数がわかります。

ピッチ走法と言われるピッチ数は1分間に180歩以上

高ピッチ

出典:PIXTA

計測した結果はいかがでしたでしょうか?厳密な決まりはないのですが一般的にピッチ走法のピッチ数は180以上と言われています。トップランナーになりますとピッチ数が200を超えることもあります。これまであまり意識せずに走っていたビギナーの方で180超えていた方はいるでしょうか?ピッチ走法を目指しているのに超えていないという方も、今はピッチ走法と自分の走り方の差について感覚的につかめていれば大丈夫です。

自分に合った走り方を見つけることが大切

走り方を考えるとき、大事なことは「自分に合った走法」を見つけることです。比較的初心者向きのピッチ走法も、誰にでも相性が良いというわけではありません。

 

実際にピッチ走法にこだわり過ぎると、窮屈なフォームになってしまうケースもあります。自分に合っていないフォームにいきなり変えると怪我やパフォーマンス低下に繋がるリスクがあるので注意してくださいね。

ピッチを上げる?ストライドを伸ばす?

東京マラソン2019 先頭集団

ピッチ走法の対の存在が「ストライド走法」です。ストライドとは「歩幅」のことで、ピッチ×ストライドの組み合わせによって、走るスピードが決まります。

 

ピッチ走法は脚を細かく動かすような走法ですが、ストライド走法はストライドを意識した「大股」のような走り方です。

 

もし走るスピードを上げたいのであれば、「ピッチを上げる」「ストライドを伸ばす」、それとも「両方伸ばす」のいずれかです。例えば、マラソンのタイムを上げたいときなどは、どの方法が自分に合っているか走りながら見つけていくことが大切です。そのためにも、それぞれの走り方の特徴を押さえると良いでしょう。

ピッチ走法とあわせて知りたい!ストライド走法のメリット・デメリット

ピッチ走法が自分に合っているか決めるためにも、ストライド走法がどのような走り方なのか知っておきましょう。ストライド走法にはどのようなメリット・デメリットがあるのか紹介します。

メリット:スピードを出しやすい

1500mを走るマシュー・セントロウィッツ・ジュニア

1歩の幅が広いので、同じ歩数(ピッチ)でも長い距離進めます。そのため、ピッチ走法と比べると同じ距離を進む速度が速くなるため、スピードを出しやすい走法です。また、スピードを出しやすいだけでなくスピードにも乗りやすく、速いスピードを維持しやすいメリットもあるので短距離・中距離向けの走り方でもあります。

デメリット:体にかかる負担が大きくなる

膝を押さえる男性

出典:PIXTA

ストライド走法はストライドが伸び滞空時間が長くなるので、必然的に歩数が少なくなります。つまり、1歩にかかる負荷が大きくなり、疲れたり怪我するリスクが大きくなったりします。

 

そのため、ストライド走法を取り入れるためには、負担に耐えられる脚の丈夫さが必要です。また、ストライドを伸ばすために地面を蹴る強さや、股関節・股関節周辺の筋肉の柔軟性も求められます。このことからも、ストライド走法はトラック種目などスピードが求められるシーンで使われ、マラソンなどの長距離種目はピッチ走法の方が相性が良いと考えられています。

ピッチ走法とストライド走法はどっちの方がいいの?

マラソン初心者の場合、ピッチ走法とストライド走法のどちらが良いか迷ってしまうでしょう。実際に、どちらの走法もメリットとデメリットがあります。ここからは、自分に合った走り方を見つけるヒントを紹介します。

初心者はピッチ走法がおすすめ

公園をジョギングする男性

出典:PIXTA

初心者の場合は脚の筋肉がついておらず、無理をして長い距離・長い時間走ると体を痛めやすいです。特に、元からストライド走法寄りの走り方の人は、片脚にかかる衝撃が大きくなるので、負担を軽減できるピッチ走法がおすすめです。

 

ピッチ走法だと全身の動きが速くなり疲れやすいので、無理なく走れる距離や時間から始めて徐々に伸ばしていくようにしましょう。

走力がついてきたらストライドは自然と伸びてくる

ランニングする男性

出典:PIXTA

ストライドはあまり意識しなくても、走力がついてくれば自然と伸びてきます。例えば、1km6分で走っていた人が1km4分のペースで走れるようになれば、ピッチも上がっていますが、ストライドも自然と伸びています。

 

これは走力に合わせて脚の筋肉がついてきて、地面を蹴る力と衝撃に耐えられる筋肉ができたからです。そのため、無理してストライドを伸ばすように意識するのではなく、ピッチ走法を無意識に行えるようになるまで走り、トレーニングを積み重ねていけば、自然とストライドは伸びていきます。

スピードを付けたくなったらストライドを伸ばすようにしよう

ロードレースに出場しているランナーの足

出典:PIXTA

マラソンではなく5kmなどの短いロードレースでタイムを出したいときは、スピードの要素も重要になるので、ストライドを意識すると良いでしょう。ただし、無理にストライドを伸ばそうと大股な走り方をするのではなく、普段よりも速いペースで走る「スピード練習」を取り入れるのがおすすめです。スピードを出そうとすると、ピッチ走法のような走り方では脚の回転が追い付かなくなってくるので、自然とストライドが伸びていきます。

 

マラソンも走るランナーであれば、1,000m×5本のインターバルや200mダッシュを10本などを行うと良いでしょう。普段のジョグやマラソンレースよりも速いペースで、短い距離を繰り返し走るようにするとストライドは伸びていきます。

まずは一直線上を走ることを意識!

ストライドの画像

作成:記助

もし無理なくストライドを伸ばしたいなら、大股を意識するのではなく、「一直線上を走る」ように意識するのがおすすめです。

 

画像の右側のように、ガニ股のような走り方だとストライドは短くなってしまいます。そこで、一直線上を走るように意識すると左側の画像のようになり、同じ距離でも少ない歩数で到達できるようになり、ストライドが伸びます。

 

ピッチ走法でも、一直線上を走るフォームであればストライドは自然と伸び効率が良い走り方になるのでおすすめです。

 

一度、土のグラウンドなどを走ってみると、足跡ができるのでどのようなストライドで走っているか分かりやすいので、定期的にチェックしてみると良いでしょう。

 

後は、股関節周辺のストレッチをしたり、ランジウォークなどの筋トレをすると股関節周りが強化され、ストライドを無理なく伸ばせます。自宅でストレッチをするときは、ストレッチマットを使うのがおすすめ。

 

ITEM
アディダス トレーニングマット
サイズ:厚さ10mm 縦183cm 横61cm
素材:ニトリロゴム

 

このストレッチマットは、表面は汗をはじき滑り止めもある仕様なので使いやすく、手入れも簡単です。柔らかい素材で巻きやすく、コンパクトで持ち運びにも便利でしょう。

 

▼股関節周りのストレッチについて詳しく知りたい方はこちら

マラソンでもトップランナーはストライドが長い

エリウド・キプチョゲ

もともとピッチ走法は持久力が重視されるマラソンなどの長距離種目との相性が良いと考えられていました。

 

しかし、現代のマラソンはおよそ2時間で走り切ってしまうように高速化しています。それに伴って、トップ選手のストライドは伸びている傾向にあるのです。

 

実際にトップ選手の走りを、1分間の歩数と走行距離を観察してみるとストライドは長いといえるでしょう。

 

選手名 1分間の歩数 走行距離 身長 ストライドの長さ マラソンのタイム
 大迫選手  180歩  約320m  170cm  178cm  2時間05分29秒
 キプチョゲ選手  182歩  約350m  167cm  192cm  2時間01分39秒
 べケレ選手  174歩  約340m  165cm  206cm  2時間01分41秒

 

※上記の数値は平均値ではないため、正確な数値ではありませんので参考まで。

 

このように日本のトップ選手と世界のトップ選手も、歩数は170~180歩ほどであり、身長よりもストライドの方が大きくなっています。ストライドが伸びた要因として、レースのペースが上がったことやシューズが改良され、反発力が増したことなどが考えられます。

このようにエリートランナーになればなるほど、マラソンでもストライドの長さが重要な要素になってくるといえるでしょう。

最初は無理なくピッチ走法で走ろう!

ジョギングしているカップル

出典:PIXTA

マラソンランナーにとって走り方はタイムに影響する重要な要素です。例えば、脚ができていない初心者の場合は負担を軽減できるピッチ走法がおすすめです。

 

ただし、意識し過ぎるとフォームが崩れる可能性があるので注意する必要があります。実際に、タイムを追い求めるランナーでも、走力に伴ってストライドは自然と伸びていくので、無理して変える必要はないといえるでしょう。

 

5kmくらいのロードレースに出る方や、ラストスパートなどのためにスピードを磨きたい方はストライドを意識して走ってみるのがおすすめです。

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ひがしだいすけ
記助
記助

元800mランナー。100mからマラソンまで、観戦するのも走るのも好きです。楽しく走る方法や速く走るためのトレーニングを主に公開するので、お役に立てたら幸いです。